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2011年1月19日 (水)

古内東子の「逢いたいから」

以下のエントリーを書いて3年以上経った今朝、改めてこの歌を聴いて、ふと思った

この歌の中の「僕」は、女性なのではないか・・・?

「僕」が男友達なら、「僕」はいかにもいい人すぎるし、
「僕」が元彼なら、「君」はいかんせん無神経すぎるし、
「僕」が兄や弟なら、それはちょっと危険すぎる
しかし、「僕」が女性(一人称に僕を使ういわゆる僕っ子ちゃん)なら、
それが友達であっても、姉妹であっても、
「君」が夜中に来て、料理したりのろけ話をするのは不自然ではないし、
その話し相手である「僕」が優しく微笑んでいるのも自然なことのように思える

そして、「僕」は
、ノンケ(恋愛対象が男である女性)である「君」に密かに恋するレズビアンであり、
同性ということで心を許している「君」が無邪気で、「僕」は
告白できない


女性、古内東子が、「僕」という歌詞を唄っていることも併せて、
これが、今現在いちばんしっくり来るこの詩の解釈です

(以上追記:2014年10月12日)







もう・・・・なんでこんな歌が存在するんだろう


大好きな彼女を目の前にした、彼の混乱した心の叫びを、

ゆったりとしたリズムで、しっとりと囁くように、古内東子が歌う
まるで、春の雨が、草原の若草を優しく濡らしていくかのように、物静かな歌だ


カーテンの掛かる窓の外には、夜の街並みが広がっている
マンションの部屋は、明るく清潔で、幸せそうな光に満ちている
でも、彼の心の中では、悲しみと妬みと、切ない喜びが渦巻いている


そんなシーンが、スローモーションで瞼に浮かぶ


ドアの向こう 寒そうに君が立ってる
こんな夜中に買い物袋抱えて
「幸せすぎて眠る時間も惜しい。」
なんてふざけながら
誰かを愛する強さにあふれて

彼のことを話す君が立つキッチン
聞いているのは僕でなくてもいいみたい
慣れた手つきの君の料理は
暖かくて懐かしくて
だから余計に僕を傷つけるよ

お願い
恋をして綺麗になってく君を見ているのは
辛いからもうここには来ないで
 言えないよ それでも逢いたいから

君が彼と喧嘩をして泣いてた時
僕はすかさず君の味方をしたけれど
君は笑って「いいのよ。」なんて
僕だったら僕だったら
君を君を悲しませたりしない

お願い
恋をして綺麗になってく君を見ているのは
辛いから もうここには来ないで
 言えないよ 逢いたいから

もう目も見られないよ
君のその瞳に映ってる僕の顔が
やさしく笑うたび悲しすぎて

ああ
今この瞬間を
君といることは決して嘘じゃないのに
ああ
何も変わらない 何も届かない
きっとこれからも

恋をして綺麗になってく君を見ているのは
辛いから もうここには来ないで
 言えないよ 逢いたいから

もう目も見られないよ
君のその瞳に映ってる僕の顔が
やさしく笑うたび悲しすぎて


(作詞・作曲・唄:古内東子 1993年)




大好きな彼女が綺麗になっていくことが、
自分と関係ないところで、幸せを噛み締めていることが、
どうしてこんなにも悲しいのか

それは、自分が幸せにしてあげたかいから

いっそ、そういう君に逢わなければ、そういう君を見なければ、
ほんとうは楽なはず

なのに、逢いたい
狂おしいほどに、逢いたい
その想いはあまりに辛くて、時に、死んでしまおうとさえ思うほど


他の男を愛して、他の男に愛されて、逢いたい君が綺麗になっていく
君は今、親しげに、目の前で微笑んでいるのに、
僕の手の届かないはるか彼方にいってしまうようで、
それが、とても悲しい



男女に友情は成立するのか?

永遠といってもいい、難解なテーマだ
成立する、成立しない、双方の意見の持ち主と、今まで、何度も議論を交わしてきた
議論の相手は、男性のこともあれば、女性のこともあった

成立すると言い張った女性の一人は、その後、
友情が成立していると主張していたお相手が、その女性への想いを書き残し、
自ら命を絶つという悲しみに直面した

成立しないと言い張った男性の一人は、
今も結婚することなく、若い彼女をはべらかしている

成立しないと言い張った親友の女性は、その後、
私と共通の親友と恋愛し、結婚して、今は二児の母であり、
成立すると言い張った男性は、
成立していたはずのその女性の旦那である


私は、心底嫌いになるような女性でなければ、
いつの日か、友情は恋情に転化すると思っている
そして、それは悪いことではないと思っている
私は、他人の女性に対して、たとえば肉親に対する愛情と同等の無償の愛を抱き続けることはできない



彼女は彼の部屋に押しかけて来て料理を作る
彼は、かりそめの友情を楯に、彼女と接している
台所に立つ後ろ姿
揺れる髪
ひとつひとつの仕草
それら全ての姿は、他の男に恋する彼女の、ほんの一部でしかない
無邪気な
彼女を、無神経だからと、辛いからと、追い返すことなんてできない
こうしている間は、二人きりで過ごせるから
でも、かりそめの友情からは、本当の笑顔なんて生まれない
そうするほかに方法がないから、優しく微笑んでみる


彼女の綺麗な瞳に、友情の笑顔を浮かべる彼が映っている
彼女は、その瞳のように美しい友情で見つめていると信じているのかもしれない
でも、彼は心でこう思っている
どんなになっても、君を好き
友情で「好き」だなんて言えない
言いたくない



彼女が席を立ち、一人になった瞬間、
手料理に彩られた
幸せそうな食卓を前に、
彼は、壁を見、天井を見上げ、窓を眺める


他の男と縁の切れているこの瞬間でさえ、
彼女にとっては、愛する男との時間の一部でしかない
その手料理からたち上る匂いでさえ、
彼女にとっては、愛する男との想い出の一部でしかない
見慣れたこの部屋を満たす仄かな甘い香りも、
僕の物ではない

現実が彼の胸を締め付ける
叫び出したい衝動を、声をあげて泣きそうになる悲しみを、
必死で堪えているのかもしれない


何も変わらないのはわかっている
君が僕に恋しないこともわかっている
僕と愛し合うことがないこともわかっている
きっとずっと、どうにもならないこともわかっている


ただただ、失いたくない

だって、大好きだから
たとえ、そんな自分に嫌気が差しても、微笑むしかない

逢いたいから




古内東子


「恋愛の神様」の呼び声が高い、ご存知のシンガーソングライターだ

この歌が発売された当時の私は、
ファンタジックな世界に憧れこそすれ、
このようなリアルな恋愛や失恋の経験もなく
それに憧れることもなかったんだと思う

だから、この人の歌を聴いても、心は震えなかった
そんな琴線は心の何処にも見当らなかった
だから、ぴくりとも食指が動かなかったのだろう



発売から17年を経た昨日、この歌を、TBSラジオ「kakiiin」で聴いた
初めて聴いたはずなのに、歌詞も知らないのに、
涙が溢れて止まらなかった



ポロポロと零れた涙は、こう言ってくれるだろうか?
「幾らかは、経験を積んだということだよ」と

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