« 古い名前 | トップページ | 喫煙事情 »

2011年1月 9日 (日)

米村裕美の「見えなくなったシャツへ」

売れる売れないは関係なく、
自分にとって、たまらなく響いてしまう曲というものがある

米村裕美の、「見えなくなったシャツへ」も、そういった一曲だ


米村裕美なんて、きっと、殆ど誰も知らないだろう


アルバイトの収入の多くを、名も知らぬ女性J-POPのCD買い漁りに費やしていた
大学時代に見つけた、
宝物のようなシンガーソングライターだ


当時はインターネットもなく、得られる情報は今よりはるかに限られていた
試聴なんて気の利いたサービスも皆無だった
それでも、いやそれだからこそ、
CDを
片っ端から手に取り品定めする音楽好きが集まって、レコード店は盛況を極めていた
 
情報の限られた中、装丁、顔立ち、名前、発売日・・・・
それらが気に入るか気に入らないかで、買うか買わないかを決めた
それはまるで、運試しかギャンブル的感覚だった

買ったCDを友人に見せて、「知らねぇ」と言われるのが快感だった

名前に関しては、「かたさ行」の少ない女性を贔屓目に見ていた
硬さ・固さを想起させる、「かきくけこ」「たちつてと」「さしすせそ」の少ない名前が好きなのだ
名前に限らず、肌触りも、ふわふわで柔らかくなければ女子ではない、と思っている
私の名前は、「かたさ行」が
4/7を占める
しかも、男だ
無い物ねだりかもしれない

装丁は最も重要なファクターだった
音楽的に自信のあるCDは、良いジャケットになるはずという、危うい
仮説に基づいていた
仮説は危うかったが、それでも、成功の確率は高かった
幸い、
バブルの余韻が色濃いその頃は、装丁も凝ったものが多く、
ジャケ買いし甲斐のある時代だった

 

私は、この人と、この人の歌の何曲かが大好きだった

京都のAMラジオにレギュラーを持っていて、
なんとかして受信しようと、京都に指向を持たせたアンテナを自作した
アンテナ線の総延長は100mを越えた
信じられないかもしれないが、遠く京都のAMラジオをなんとか聞き取れる日もあった
毎週、絵を描いた葉書を投稿し、何度か読まれたのが聞こえたこともあった
それはそれは嬉しかった


良いことばかりではなかった
 
活動を休止されたこともあった
あまりにショックで、この歌の、「このまま 会えなくなってしまうの?」
という部分で、ボロボロ泣いた


期待を裏切られたような気分になって、辛辣に当たったこともあった
憎くなって、聴かなかった時期もあった

今も心苦しくて、BBSに投稿できないでいる


当時の彼女よりうんと年上になった今、いろいろな経験を積んだ今、
改めて
この歌を聴くと、その切なさと愛しさは痛いほどだ


大好き あなたの白いシャツ

元気な顔見れると思ったのに 疲れているの?
さっきから黙ってる
話したいことだって たくさんあったはずだったの
だけど 何も言えない

またねって 笑顔で手を振ればよかった
泣きだしてしまいそうよ


おねがい ひとりにしないで
言えない
素直になれないままで別れた
閉まったドアの向こう側
人混みに消えた あなたの白いシャツ

冷たい風の吹く木曜日
ひとりきりの部屋で 今日も電話は来ない
借りたままの本を開いたら あなたが引いた線
見つけ こころ震えた

どうしてるの 今も忙しくしてるの?

浮かぶ顔 かき消せない

突然 消えたりしないで
このまま会えなくなってしまうの?このまま
やさしい言葉もいらない
もっと我慢する
おねがい そばにいて

おねがい ひとりにしないで
言えない
素直になれないままで別れた
閉まったドアの向こう側
人混みに消えた あなたの白いシャツ

大好き あなたの白いシャツ


(作詞・作曲・唄:米村裕美 1992年)


仲が良いんだか悪いんだか、好きなのか嫌いなのか、よくわからなくなってしまうことがある
大好きなはずなのに、想いが募って憎くなってしまって、気持ちが空回りしてしまう
 
なのに、別れると、すぐに素直な気持ちが蘇ってきて、
なんで素直になれなかったんだろうって、悲しくなってしまう
いろいろ思い出して、もっとやさしくすればよかったのにって
もっと素直に甘えればよかったのにって、後悔ばかり

相手の気持ちなんて、結局のところわからないのに、
こういう時にかぎって、一人相手のことをいろいろ考えてしまう
そして、判で押したように、悲しい方向にばかり向いてしまう
でも、考えずにはいられない


こんな気持ちになってしまうのは何故?

嫌いだから?どうでもいいから?
いや、きっと、その人のことを大好きだから

だから、サヨナラしたくない。そのためなら、多少のことは我慢してもいい

そんな気持ちの時に流れるのは、
嬉し泣きとも、悲し泣きとも、怒り泣きとも違う
切なくて甘い、愛し泣きとでも表現すべき、心の涙

この歌は、その難しい部分を、とても可愛く歌っている
と思う


閉まったドアは、なんのドアだろうか?
電車?新幹線?車?
お店のドアということもあるかもしれない
あるいは、彼女の部屋なのかもしれない
でも、私は、なぜかバスのドアをイメージする



ジャケ買いした米村裕美の2枚目のアルバム「How Are You ?」

「見えなくなったシャツへ」は、その冒頭の一曲である

Sp1030158

米村裕美2ndアルバム「How are you ?」1992年


過去には、クレヨンしんちゃんのエンディングテーマ曲を歌ったり、
NHKのみんなのうたに採用されたり、
大手飲料メーカーや地方銀行などのCMにも楽曲を提供していた
しかし、
ここ10年、活動らしい活動はされていない

惜しい人材だと思う

« 古い名前 | トップページ | 喫煙事情 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/563961/50531564

この記事へのトラックバック一覧です: 米村裕美の「見えなくなったシャツへ」:

« 古い名前 | トップページ | 喫煙事情 »

フォト
2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ